薄荷塔ニッキ

飛び石を渉れない。

 真白は「スーパーやコンビニのひとが私なんかの為に買った物を袋に入れてくれることの優しさで胸がぎゅーっとなって怖い」と云う。優しくされることが怖いのはよく解るし、一瞬即物的な喩えのように感じたけれど、夜になったりときどき考えたりすることで、例えばtwitterやLINEやYouTubeやblogを無料で使っていることは全部怖いのだ。無料のメールアドレスも怖い。それは、blogなんて無かった高校生だった頃、或る朝起きたらHPが消えていた・有料サイトを使えばそんなことが起こらなかった、という体験から思うことだ。無料のアプリケーションに慣れきったひとには分からないかも知れない。
 映画のなかで、ななみはLINEのようなSNSを使っているが、それはたぶん無料なのだろう。ならば、「スーパーマーケットの優しさ」はとても遠い象徴的喩えだ。2016年の世界のところどころにある現実と寓話。(まあ、ところどころちょっぴりだろうけれど。私もそのへんに居る)