薄荷塔ニッキ

飛び石を渉れない。

Čerenkov radiation

終末より永遠をおそれる君に青く聖別のチェレンコフ光(松野志保)

              『率 Free Paper COLLECTION 2012-2014』より

 
チェレンコフ光って、いいね」
 と、偶然この短歌を見せた私に家人Cさんが云い、「チェレンコフ光って何?」と私は訊いて暫く問答したあと、「私チェルノブイリに行きたい。禁止区域だって入れるんでしょう。光を見て死にたい」
 と、云うと、Cさんは、「俺はまだ死にたくないし。おゆらが死ぬのも厭だし」と云った。
 悪いことを云ったと思った。気持ちは変えられないのだけれど。象の足だの何だの知っているくせに淡々と(見える)ように過ごしているCさんは謎だ。


 死にたい、なんて、悪いことを云ったと思って、打ち拉がれて、早寝する(私より5時間は早い)Cさんの横で、もう寝ようとしている。
 何故青いのだろう。何故青は私にとってこんなにも美しいのだろう。

 懐かしい防人の歌のメロディに合わせ 父の死をうたいながら
 私はチェルノブイリのゲートを越えてゆきます。
 5日後にオープンするはずだった遊園地で遊ぶ子どもたちが笑っています。泣いています。思い思いの顔をしています。彼らの目線の方向を辿るとあの日の様子が、まるで体験したことのように、瞼に焼き付きました。

(そにっくなーす)

 H29.3.11「ことばが死ななかったよる」/そにっくなーす - YouTube


 今日は本棚をぶらついていて、短歌誌を偶然手に取っただけなのだが、それはそうと、私は『率』は好きだ。新刊が読みたい。


 




 2018年「おうちに帰りたい読書」の2冊目はこの本。

 

自殺 (文春文庫)

自殺 (文春文庫)