薄荷塔ニッキ

飛び石を渉れない。

Kyoto

 京都に所用諸々で帰る。Cさんと一緒に先ずハーバーカフェに入ってひとと待ち合わせ、制作の関係で作業をして貰う。
 
 ハーバーカフェで昼食の為にシーザーサラダを頼んだら数人分の量だったので白目を剥くパタン。シーザーサラダにありがちなことだと思うのによく起きる。でもシーザーサラダは好き……。

  *


 のち、私の実家へ。カフェを出たら丁度弟夫婦と姪が歩いてきて出合い、実家では弟ふたり、義妹、Cさん、私、ときょうだいが揃う。弟夫婦の子どもであるところの姪と甥もいて、我々の両親と、母方の祖母と、父方の叔母、と集合。末弟が仕事で引っ越すのでお見送りの会合。しょっちゅうは逢えない場所へ引っ越すので少々大々的に。
 甥と姪に久々に合ったら、小学校入学、幼稚園入園、とのことで、随分おおきくなっていた。姪にリボンやキラキラしたビーズの付いた髪ゴムを、甥にトミカふたつを渡す。

 トミカ No.37 ミニ ジョン・クーパー・ワークス (箱)
 トミカ No.33 フォルクスワーゲン ザ・ビートル (箱)

(次回もトミカを渡す為に何をあげたか、車種を記録)



 ビールとノンアルコール飲料しか無いだろうという予想が的中していたので、うえの弟と一緒に私ののみものを買いにゆく(私はアルコールを欲するけれどビールはのめない)。うえの弟はなかなかの常識人みたいな発言ばかりするので可笑しいと思う。トミカをあげたことを「すいませんねえ」などと云う。弟のくせに。だから弟の子どもにトミカをあげることなんて何にもすまなくない。社会人みたいだ。否、彼は社会人である。ワインとサングリアを買って貰って弟がミネラルウォータやらチューハイやら全部重そうなものを持ってくれた。

 宅配のお寿司で乾杯。甥と姪はあまり沢山お寿司など食べられない為、すぐ遊びたがるモードに。その前に甥がお寿司に胡瓜が入っていないことを嬉しそうに指摘して、私が「胡瓜嫌いなの? 私も嫌いー」と云ったら、偏食のおとななど普段見ないのだろう、変に目をくるくるさせた嬉しそうな表情をした。
 甥と姪はかくれんぼを始めて、ワインをのんでいた私はいつの間にか参加していることになり、「隠れるからね! 20秒ね!」「隠れてね! 探すからね!」と云われるが侭に隠れていたら末弟に「姉、本気で隠れてる」と呆れがちな声でぼそっと云われた。だって……。他のおとなたちも「狭い家でも隠れられるのねえ」「子どもは隠れるわねえ」と暢気に云っていた。私は真剣かくれんぼの渦中。黒い服装だったので、甥に「まっくろだからすぐわかる」などと云われこれは何気に暴言ではないでしょうか、甥っ子よ……。

 
 その後、ドライヴァなのでアルコールをのまなかったCさんがおもに甥と姪の遊び相手に。子ども、アクティヴだな……と思う。いちども泣いたりしなかったのでやっぱりおおきくなった。食後に叔母が持ってきてくれたいちご、「リカも大好きさがほのか」果物は自宅で食べないので嬉しい。弟の提案で坊主めくりをしたあと(私の実家のひとはつくづく百人一首坊主めくりが好きだ)甥がどうしても挟み将棋の相手を要求するので一戦だけ付き合った。挟み将棋のルールで、碁石を並べて遊ぶヴァージョン。私はボードゲームとか駒ゲームはしない主義なのだけれど、まあ。そして本気で勝負して倒した。将棋やら碁なんて子ども相手でも本気ですよ。甥の挟み将棋は、「好きなところに碁石を出して良い」という理不尽なルールが有り、好きな場所に置いて石を挟んだら簡単じゃないかなんだそれは……(だが勝つ)。

 夜。4月あたまに入園した姪が、幼稚園に毎日通うということを把握しておらず、日曜の夜であるそのとき「ええっ! あしたも行くの!?」と声を上げていた。勤め人であるところの末弟が「おとなになってもずっと毎日通う場所があるんだよ……」みたいな哀愁を漂わせていた。

 祖母は祖母宅に帰り、父は仕事に出掛け(よほど忙しいのか心配)弟一家は子どもを連れて帰宅し、末弟・叔母・Cさんと私・母で珈琲をのみ、フルーツパーラークリケットのオレンジゼリーを食べた。うちは何かというとクリケットのゼリーが出る。
 Cさんの車で、叔母と末弟を送って貰い、その後尼崎に帰った。Cさんは義理の甥・姪とたっぷり遊んでくれたり、私の実家で過ごしてくれたり、本当に、感謝。私は自分の叔母のことがちいさな頃から大好きなので、Cさんが叔母のことを好ましそうに云ってくれるととても嬉しい。私も姪にとって良い親戚の存在で居たいなあと思う。
 Cさんは「湯さんには(甥と姪にとって)果苗ちゃんみたいなおねえさんで居て欲しいな」と云う。
 「果苗ちゃん」とは私の書いた『ミルチリカル』という短篇集に登場する姪と叔母の短篇の叔母の名前だ。

 

ミルチリカル (白昼社)

ミルチリカル (白昼社)

ミルチリカル

ミルチリカル


 いつもしっかりしていて(ついでに云うととても美人である)きちんきちんと物事をこなす義妹にサングリアを分けてあげたら存外美味しいと喜ぶので、瓶を渡して「残りは持って帰っちゃいなよ」と云うと悪戯っぽい笑顔で喜んでくれた。私は義妹のこともとても可愛いと思っていて大好きだ。変人な義姉夫婦で申し訳ないなあとは思うけれど、義妹もその子どもたちもとてもいとしい。

 


Link:
  
 Harbor Cafe
 京都のフルーツパーラー クリケットゼリー