薄荷塔ニッキ

飛び石を渉れない。

Rìběn rén

 とうとうメールマガジンをクリックして、素敵な浴衣を沢山見てしまった。そして安い。安さが買いたさに拍車をかける。
「でもね、安くてもこれは洋服をどんどん買ってしまうのと同じでしょ。そんなの駄目でしょ」
 病院帰りのガストで家人Cさんに云うと、1年に1枚浴衣を増やすのはいいんじゃない? と彼は云う。夏には私の写真を撮るつもりなので甘いのだ(買うのは私のお金なのだけれど)。しかし私はUNIQLOの浴衣をだいぶ持っているので、ぜんぶをクリーニングに出してもかなりお金が飛ぶ、クリーニング屋さんを使えないほどの枚数の浴衣は持っている。取り敢えず今日は2枚、部屋の隅にあって気になっていたものを、糊付けし直してアイロンを当てた。UNIQLOの浴衣は素材が扱い易いし、竹久夢二中原淳一をテーマにした年に買ったのでとても好い柄だ。少しずつぜんぶを糊付けして、仕舞い直そう。UNIQLOや、スーパーマーケットの2階のような場所で買った安い浴衣だ、たとうなどは無い。

 台灣に居たときは気候に合っていたのか、ほぼ浴衣を着ていた。一度、浴衣でお寿司のコンヴィニ(みたいなチェーン店があるのだ)に居たら、どうも私を見物する人が集まってきてしまったことがあった。你們好、我是日本人。ごめんね、民族衣装着てるけど、これ、単に涼しかっただけなの、お騒がせしてすみません。

  ◯

 正直に感じたことを云ったらリストカットオーバードーズするパターンの知人友人(自分史上周囲に多い!)に向かうとき、私はどうしたらいいんだろう。我慢? 私の感じたことは、私にとって正論だと吟味したことなんだけど、それは呑み込む? それは違うのでは。
 でも彼女たちは、「傷ついた」として自傷したりODをしたり、入院したりする。思春期診療から卒業出来ないのならそれは気の毒だけれど、私は私で双極性障害IIで、愚鈍な医者と言葉も交わせず診察もされず、ほそぼそとしたアルバイトどころか、ひとひとりに合うにも頓服をのんで錯乱しているので、私の持ってないものを持ち得たあなたたちを羨む汚い心がある。境界性人格障害といってしまうのかなあ。
 私と同じ、双極性障害IIの友人(私と彼女はかなり、戦友だと勝手に思っている)は、仕事はしているがあのグループとは明らかに違う。話をしていて「傷ついた! 死ぬ! 手首切る!」という感じがしない。その子も希死念慮はあるにせよ、なんだろうなこれ。でも躁状態と鬱があるその友人の方が明らかに苦しそうだし心配だ。
 苦しみ、というものがひとつのベクトルだけに定義されていれば良いのにね。現実は真逆。

 小説を書いているのは本能で業だから、「才能を伸ばして生活している、素敵ね」などと真っ平、酷い辱めだ。私はそれなりの精神を持ってそれなりにアルバイトでも仕事でもして、それで本の印刷費が稼げた方がずっと理想だ。
 


  ◯

 出来てないことばかり。不完全。

 良い洗濯糊のつけ方を知りたい。
 カーテンレールから下げているエアプランツになってしまいたい。
 ガストで白桃のパフェを食べた。私も白桃に生まれたかったなと思った。甘やかだ。

 今日は余震が4回。TVを観ずに生活している所為か、子どもの頃阪神大震災というワクチンを接種した所為か、あまり動揺は無い。眠れないので、お米を炊いて冷凍し、お茶をボトルに作り、夜のガストの帰りに生理用品とティッシュなどを買った。心なしか店内の棚は空きがあるような気がした。買占めというより、流通不全か。