薄荷塔ニッキ

飛び石を渉れない。

恣意セシル『二月』

 恣意セシル著『二月』を電子書籍で読みました。ブクログのパブーサーヴィスの恣意セシル氏の頁はこちら。 過去作『この命をくれてやる』で打ち震えて愛読者が増えた著者だと思いますが、パブーのwebサーヴィスはそこまで広く認知されていない気もするので、未読の方は是非どうぞ。何作も無料で公開していらっしゃいます。Kindle端末、スマートフォンKindleアプリに送信するか、ご自分のPCにダウンロードするか、webのパブーの頁のなかで読めます。


 二月 恣意セシル booklogのパブー内「二月」


 内容を少し。と、いうか、これは前に公開されていらっしゃる『五月』の姉妹(?)編に当たるのですね。二月の最後を見送って三月を始める、云ってしまえばそれだけなのですが、繊細な描写と情感で月々の移ろいを描く筆致が素敵です。『五月』の感想は以前のこの記事ですが、四月を見送る物語、似通ってしまうかのような二作が「ああ、これは二月で、こちらは五月だ」と感じ入る点、良いなあと思います。

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 最近あまり広報していませんでしたが、恣意セシル×泉由良コラボレーションの小冊子『ゆらし、』は架空ストアさんの吉祥寺のお店と通信販売のwebからお手元に届きます。2012年の自分の日記記事の案内は今見るとはしゃいでいますね。夏のことをきゅっと詩や写真、掌編で詰めたzineです。全32頁、200円です。

 ゆらし、恣意セシル×泉由良

 お話を展開してしまいましたが、先ずは、『二月』を、そのあと、『五月』を。『春待ち』を挟むのも良いです。


 セシルさんとは以前執筆合宿(?)をしたのですが、またそんな夜を過ごしたい、とこっそり思う好い夜でした。ふたりで京都で選んだワインに口をつけながら、顔をあげると丁寧にペンを、……鉛筆だったかも知れない、動かす姿があって、今でも愛おしい時間で。同級生じゃないけれどお姉ちゃんでもない、それでも時々還りたくなるようなハグしてと願うような不思議な位置に存在するひとです。心身を削って書いているように見える彼女に続けて欲しいと云うことは酷な気がするけれど、そんな私の迷いでは断筆しない方でしょう。元気でいらして欲しいです。二月が来たら、私の、そのあとセシルさんのお誕生日がきます。


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  「この命をくれるやる」恣意セシル Kindle