薄荷塔ニッキ

飛び石を渉れない。

透き通って / lost girls

 春の文学フリマ東京で購入した『透明物語』の著者、小柳日向さんと夜中にLINE通話をして、文学の話も少ししました。いや、結構文学の話ばかりだったかも知れません。5時半起きくらいの予定の彼女を徹夜させてしまいましたが、日向さんと話すことは好い時間です。それは大抵夜中で、彼女も私も、寂しい時間で。でも今日(と、先日)最後は私が眠たげな声を出してしまって本当に申し訳ない。

 小柳日向氏は春に短編、掌編、詩を収録した『透明物語』を発表されました。日向さんの初めての組版による失敗の部分や、何故そんな展開を!? と(これは数名と確認を取ったので彼らと私の他数名、皆そう思ったのです)いう部分もあるのですが、表題作など特に大変な秀作が収録されているので、とても良い読書でした。著者の描いた表紙絵も美しいです。彼女は金魚が好きですね、私も好きです。飼ったことはないけれど。

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 ここで自分の本の話にしてしまうのも失礼なのですが、拙著『Lost girls calling.』も実は《透明に生きていたい》がキーワードなので、親近感を感じます。自著に関しては、誰も「透明」という単語には触れてくれたことが、今まで皆無なのですが。私には「透明物語」というような語を書くにはあまりにも衒いがあったし、衒いというのは狡い言葉で、ただ単に自分の心が濁っていたし、だからそういうわけにはいかなかったのです。でもときどき、本当は透明が一番漆黒なのだと思っています。