薄荷塔ニッキ

飛び石を渉れない。

2018.03.03

 雛祭り。相変わらず、少しだけ熱が出て一日横臥。
 今日が何曜日だか分からなかったので、家人Cさんに「今日、会社、休んだの?」と訊いたら呆れられた。とうとう会社に行きたくなくて休んじゃったのかと思った。ごめん。
 夕食時に起きて、雛祭り散らしを食べた。
 そう云えば雛あられを食べなかったけれど、私はあのお菓子が結構好きだ。マヨネーズあじが入っているやつが好き。山葵味が入っているやつは大変に憎悪である。


    

2018.02.27-Lesen

 

女生徒 (角川文庫)

女生徒 (角川文庫)

その中に、また小さい箱があって、その小さい箱をあけると、またその中に、もっと小さい箱があって、そいつをあけると、また、また、小さい箱があって、その小さい箱をあけると、また箱があって、そうして、七つも、八つも、あけていって、とうとうおしまいに、さいころくらいの小さい箱が出て来て、そいつをそっとあけてみて、何もない、からっぽ、あの感じ、少し近い。


   

2018.02.25-Lesen

 

天然理科少年 (文春文庫)

天然理科少年 (文春文庫)

天然理科少年

天然理科少年

結晶質CRYSTALLOID玻璃と聞いてすぐに思いだすのは、正倉院の宝物。ハリと読むのは梵語の音訳。そのほかに、ガラス(がらす)、ギヤマン。中国語ではセロファンを玻璃紙と書く。文字面にこわれやすい感じが出ていて面白い。ガラスは硝子という字を書く場合もある。硝子と読めば、水晶のこと。

 文庫判は、少年のドールの写真とそれについての寄稿文があるところが良いが、この単行本の青い色はとても美しかった。それはむかし図書館で借りた単行本の記憶だ。

   

2018.02.20-Lesen

 

  • 陶古の女人
  • 蜜のあわれ
  • 後記 炎の金魚
  • 火の魚
  • われはうたえども やぶれかぶれ
  • 老いたるえびのうた

永い作家生活の中でも、ひょんな事から、妙にその作品が成功したとも成功しないとも限らないのに、頭にのこって自分だけがそれを大切にあつかう作品が二三篇はあるものだ、それを書いていた日とか、うごかない動機とかが一綴りの原稿のまわりにまで溢れていて、それを書くことや整えることも出来ないもやもやがあるものだ、人間がつくる霧みたいなものなのだ、凡そ人間の事で書けない筈がないのに、そのもやもやは書き分けられないのである。書くのに破廉恥な事とか、きまりが悪く、あまったるい事とか、文章には表現出来ない顔や性質とか、そういう種類の物が作家のまわりに霧や靄となり、もやもやになって何時も立ち罩めている。それらは或る小説の或る機会にうまく融け合ってくれるもやもやなのである。このもやもやを沢山持ち其処から首を浮べて四顧している者が、作家という者だと言えそうである。


「火の魚」がよかった。自分も仮にも『サカナのはなし』という本を記したわけだが、この掌編を読んでから書くべきであった。恥じた。