薄荷塔ニッキ

飛び石を渉れない。

『夢みる惑星』

 

夢みる惑星

夢みる惑星

 タワーレコードからフラゲました。

 

 あのカラフルだった5人が、「神様不在の世界」になったさよポニではモノクロ。


 

円盤ゆ~とぴあ

円盤ゆ~とぴあ

ひみつの時間

ひみつの時間



     

   

±5kg

 私も(末の弟も)摂食障害傾向がある。

 今日は、朝食も昼食も摂らず、珈琲を流し込んで過ごしていたが夕刻我慢できなくなってスーパーマーケットに行き、何を買ったかも不明瞭な感じに何らかを買い込み、16時過ぎには口から胃液とプリンを戻したものを吐いて床に倒れていた。家人に見られると嫌だなと思い、起き上がってそれらをティッシュで拭き取って、また床に横たわって終わった。

 太るのが怖いとか(既に痩せてはいないけれど)そういう次元ではなく、何を摂取して自分がどうしなければ良いか解らないから食べ物を購入するときに混乱してしまう。高校や大学の頃までは激痩せした人間だったし、今は当時から較べてありえない数字だが、月に±5kgを行ったり来たりしている。揶揄う人間には体重のことで何やかんや云われるが(敏感にはならないが)

 気づいたら床に倒れて胃液と戻したプリンが口から漏れているのは、やめておいた方がいいなと思った日。

Gymnasium

イグアナの娘 (小学館文庫)

イグアナの娘 (小学館文庫)

半神 (小学館文庫)

半神 (小学館文庫)

ウは宇宙船のウ (小学館文庫)

ウは宇宙船のウ (小学館文庫)

11月のギムナジウム (小学館文庫)

11月のギムナジウム (小学館文庫)

 開くと読んでしまいますね。
 『半神』と『ウは宇宙船のウ』が手元に無くて、それでも「半神」と「霧笛」と、温室に少年がいる話……(借りた漫画で思い出せない)が読みたいので困っています。
 これは私のバイブルの一冊。キリスト教徒なのに聖書以外をバイブルとか云って良いんでしょうか(良くない)
 
戯曲 半神

戯曲 半神

De røde Sko

 今日はEPUBを組み、webを作り、夕食後暫くして眠ってしまって、やべ・私今日メールするって云ったのにもう2、3時!? と思った起きたら23時だったので拍子抜けして、2時間ほど眠ったら満足してしまう自分はふわふわしています。昨日眠っていないんだけど……。
 あと、友だちが蝶々の綺麗な封書を送ってくれて、お返事を書けていないままにとうとうメールで返事をしてしまったらそのあと暫く遣り取り出来て嬉しかったです。
「台湾から帰ったら赤い靴が失くなっちゃったんだよ!」
 と云ったら、
「赤い靴失くなっちゃたの? 赤い小さい靴?」
 と、数年逢っていないのに私が大事に履いていた赤い靴を覚えていてくれるような、そんな子です。大事にしなくちゃ、靴じゃなくて(靴もだけど)、彼女の存在を。

  

  

cannibal

 

ユリイカ2001年6月臨時増刊号 総特集=野田秀樹

ユリイカ2001年6月臨時増刊号 総特集=野田秀樹

野田秀樹 (文藝別冊/KAWADE夢ムック)

野田秀樹 (文藝別冊/KAWADE夢ムック)

 ユリイカの方を読み直して、天皇制とは・戦争とは、と頭を煮えさせながら、河出の方を注文したらユリイカよりもライトな感じかも知れない……ので困惑しています。天皇制とは、という点では『パンドラの鐘』を、戦争とはという話では『ロープ』と『オイル』の戯曲を先ず読みたいなあと思うのですが(『Right Eye』もかな?)本当は『赤鬼』に出てくるように、戦いの本質はカニバリズムなのではないかと思ったりしました。もうちょっとユリイカの方を精読します。
 『オイル』はWOWOW放映時に録画したので、しょっちゅうDVDで観たり録音した科白をイヤフォンから聴いたりしているのですが、戯曲の方は全て未読です。『パンドラの鐘』は先輩が演劇部で上演していた……というか、NODA MAPの演劇をするのが私の出身校では流行していたような気がします。戯曲を見せてくれる劇作家って良いですよね。

 やっぱり、戦争は「殺すか・殺されるか」ですがそれは憎悪(感情)のレヴェルであって、殺しあったあとの世界で生死としては「喰うか(生きるか)喰わないか(死ぬか)」がくるのかなと思うし、テーマの窮極を探すならカニバリズムとの葛藤なんだろうなあと感じます。

 とか思っているのに文藝別冊KAWADE夢ムックはライトな、芸能界やお芝居の世界の方をフューチャリングされている気がして困ったな。

「英、君は血を流したんだよ!」

「形が違うって言うの? 人々を爆弾で吹っ飛ばしたり、正確な包囲網で攻め減ぼしたりするのが尊い形なの?」

 『贋作・罪と罰』で江戸幕末、幕府の塾生、才谷と英の会話は、一瞬アメリカ空撃、自爆テロ、日本の在り方に飛ぶ。この一瞬の一言だけ現代に飛ぶ。その飛躍のようなものに震える。

 

20世紀最後の戯曲集

20世紀最後の戯曲集

二十一世紀最初の戯曲集

二十一世紀最初の戯曲集

21世紀を憂える戯曲集

21世紀を憂える戯曲集

赤鬼 [DVD]

赤鬼 [DVD]


   

pasado

 

ちょうちんそで (新潮文庫)

ちょうちんそで (新潮文庫)


 月曜に出掛け先で選んだ江國香織『ちょうちんそで』(新潮文庫)を読んだ。

 久々の江國香織だった。
 昨今幾つか読んで嫌だった類いの江國香織のように恋や男や肉体関係に依存した小説ではなく、主人公が、自分の意識内に子どもの頃のことをきちんとつけていて(「子どもをつける」という表現は変なのだけれど、つまりその人からは子ども時代が永遠にひっぱがせないものであるので、そういう風になる)幾人かに過去があって(それが登場人物や場合によって忘却されたものであろうと、へばりつくものであろうと兎に角過去がきちんとあって)、単語や描写が丁寧で、かなしくて、そういう江國香織の本を一夜で読み終えるのは幸福で良かった。

 かつて江國香織を読むことはそういうことだった。と考えると、私にも子どもがくっついていることが分かる。十代の夜中にアイリッシュ珈琲もどきを暗い台所で作って、部屋に持ち帰って独りで時の経つ、新潮文庫の夜のことは、今よく分からない気分で過ごしている現実よりもずっと確固としている。

 一昨日、優れた文学だの売れているけれど良くない本が許せないだのというださい話題に返事をしていてしまって気分が沈んでいたので好ましい本を読めて良かった。


  del


 22日の夕食の時間の頃、夫が宮崎駿監督の話題に触れた。関連して『君の名は。』が出た。
 観ていないので良し悪し何も無いのだけれど、書店でちょっと流れていた広告映像で妙に泣いてしまいそうに咽がくるしかったことがある。新海誠自体に今は、映画のタイトルをここに書く為に検索した程度に興味は無いのだけれど、ただ映画を観たひとの「泣いた」というコメントも何度か目にしたので、人間の感情から涙を引き出すのが上手な、涙腺の蛇口の緩みの弱そうな部分を触るのが上手な作り手は、それは優れた制作ではないと思った。
 優れたというか、誠実というか、単純に云うと許せるというか。
 というわけで「新海誠はつまらないのでは」と云うと、夫が何だか忘れたけれど〈そんなら自分もやってみろ〉という意の新海誠の決め台詞を教えてくれたのだけれど、そんな他人の鼻腔の奥の粘膜を突つくようなことを自分もやってみせる気は無いと思う。
「泣ける映画」や「泣ける本」が欲しいひとは、何かに感動する自分を確認してみることで気分が良くなる性質なのかも知れない。そして「泣ける〜」はよく好評になるという仕組みかな、と思ったり。
 私はすぐ泣く人間で、今日も泣いたけれど、ただ、きちんとした感情で泣きたい。誠実というか、単純に云うと許せることかどうかというか。結局自分が自分を許せるようになるようにしようとしないとどんどん存えられなくなる。


  del


 何の話だっけ?
 つまりね、優れた文学を作ってゆかねばとかいう話題に返事をしてしまって沈んでいたのだけど、今日は読書が楽しかったよ。


 16くらいの夜に重なっていった、江國香織が過去として置かれている。
 夜と、アイリッシュ珈琲とセットになっているのは『神様のボート』や『流しのしたの骨』だ。ちなみにアイリッシュと云ってもざらめ砂糖は省いているので、偽物だ。
 『なつのひかり』や『きらきらひかる』や『すいかの匂い』やその類の頃はもっと幼かったから外は昼だったりしたし、読んでいた場所はピアノの下や市バスや図書室などで、周りに他人の気配がある。その中間くらいに『落下する夕方』は浮いている。
 それから、江國香織も他の著者本も、本屋で欲しい本の冊数と予算が合わなくて、それは「死ぬほど悩む」ことだったこともこうやって書くと思い出す。最初に学校の図書室で借りて、次に図書館で借りたこともあって、最終的には書店で予算に悩みながら自室で好きなときに好きなだけ読めるべく購入に至るそれらを思い出す。図書室の明るい窓。大型書店の夜。帰り道。どれも鮮明過ぎる。過去だけが鮮明過ぎて、現在時点に立つのが難しい。

   
 この話の結論は、今日この部屋で読んだ『ちょうちんそで』もまた(鮮明な)過去として置かれるのだろうということだ。自分から剥がれないものが増えていくことが、かなしくてくるしい。今は茫々としているのに過去になった途端に金属のような鮮明さに変わってゆく。

 
 

神様のボート

神様のボート

流しのしたの骨 (新潮文庫)

流しのしたの骨 (新潮文庫)

 
 
なつのひかり (集英社文庫)

なつのひかり (集英社文庫)

都の子 (集英社文庫)

都の子 (集英社文庫)


 『神様のボート』は持っているのは(前述通りお財布のそれで)文庫版なのだけれど、図書室で借りた安西水丸さんのこの表紙のストイシズムのままで文庫になっていれば良いのに。
 江國香織の文庫本の背は、断然新潮文庫集英社文庫が好い。書影をリンクしてもblogには表れないのだけれど、装幀の話というより兎に角、背の色について。