薄荷塔ニッキ

飛び石を渉れない。

高村光太郎『智恵子抄』

 青空文庫からDLしたものを再読。iPhoneひとつを持って何を読もうかなっと考えていると、あれもこれも読みたくなって再読もしたくなって、そして総じてが何inch×何inchだかの四角いディスプレイに収まっていて、楽しいことです。

いけない、いけない
静かにしてゐる此の水に手を触れてはいけない
まして石を投げ込んではいけない

あれが阿多多羅山、
あの光るのが阿武隈川
     (樹下の二人)


 本当にどうでも良い事で、むしろ不真面目な感想でさえあるかも知れないけれど、私は高村光太郎という詩人が、「いやなんです/あなたのいつてしまふのが──」と書いた人物がであり「僕の前に道はない/僕の後ろに道は出来る」という詩も書いたことを、少々納得しかねる気分でいる。だって、なんというか性質が違うじゃないか、と思ってしまったりするから。