薄荷塔ニッキ

飛び石を渉れない。

今日マチ子『COCOON』

 夢見るようなふわふわした少女たちの絵柄はやがて屍体に変わってゆく。細長く飛び出した腸、傷に群がる蛆。手榴弾で自決したひとくみ。泣いてはいけないと思った。少女たちが「お国の為に」歯を食いしばって頑張ったその「お国」ではなく、その少女たちの堪え忍んだ涙を私が流すなんてしてはいけない。と、思っていたけれど最後の頁の辺りはもう、涙が出た。沖縄に行きたいと思ったことはあまり無いけれど、ひめゆりの塔に祈りにゆくことは、したい。そのときは泣くだろうか。少女たちは泣くことも許されずに死んでいったのに、祈りに行った私が泣くのは、違う。と、思う。

 外国にも全然行きたくないけれど、アウシュビッツに行きたい。

 戦時を生きていない自分が戦争を描いて反感を買うことを恐れていたふしがいつも私にはあった。でも、それはしても良いことであって、むしろこれからは私たちが描かなければこの悲惨さの伝えは停まってしまう。