薄荷塔ニッキ

飛び石を渉れない。

『マリカの永い夜 バリ夢日記』

[>マリカの永い夜;バリ夢日記


 この本は『マリカのソファ バリ夢日記』にリライトされているので、「永い夜〜」の方は以前古書店で見つけて買いました。私などが云うのもどうかと思いますが、確かに「マリカのソファ」の方が秀でている、とは思うのですが、「永い夜」の筆致も好きです。丁寧で、少しだけオカルトが入っていて、それを心の通じ合いに持ってゆくところ、悪い云い方だけれど近視眼的な世界、というような印象を受けます。そして性的に儚い。この頃の吉本ばなな作品は小学校〜中学校に掛けてよく読んでいて、『アムリタ』も『N.P.』も『マリカの永い夜』も「これは失敗作だと言われていますが、」とよくあとがきに買いてありますが、それでもこれらは全部好きです。『とかげ』なんて『ひとかげ』にリライトされちゃって、新潮文庫版は今は売っていないのではないでしょうか。「とかげ」は兎も角、新潮文庫に同時収録されていた短篇のことが気になっています。日本に置いてきちゃった。

 


  


 と、思ったら『とかげ』も幻冬舎文庫から発行していますね。最近の吉本ばなな作品を読みたい気持ちと、子どもの頃深々と身を沈めて読んだあの優しい世界の懐かしさにもう一度浸りたくて再読したい気持ちの狭間にいます。ちなみに、これはiTunesStoreで買いました。Kindleではなく。