薄荷塔ニッキ

飛び石を渉れない。

「ゆらし、」

 西瓜鯨油社の牟礼鯨氏が氏のblogに「ゆらし、」の感想を書いて下さっていたので、しれっとぽえっと転載させて頂きます。ウサビッチは西の魔女とも呼んで貰っております。嬉しい。あと、自分に関連する単語のなかに「熟女」というものが出てきたのは初めてです。

ゆらし、

なんとなく晩夏の平日、昼下がりに書かれたものだと思った。詩に添えられた写真の色合いが安っぽいけれど鮮明で、あの夏の日の立ちくらみを思い出す。セカンドインパクト後のいつ終わるとも知れぬ夏のような。なんとなく晩夏の平日、昼下がりに書かれたものだと思った。強烈な日射しから逃れ、扇風機をつけたけれどまだうだるように暑い畳の部屋で、二人の熟女が全裸で過ごしていて、くたびれた肌を汗で濡らしている。そして気がついたように短い舌で互いの汗を舐めとりながら、口から言葉を放つ。蚊取り線香と食べ残しの西瓜のまざった匂い。時折ずんぐりした方が白痴のようにカメラを片手に縁側から外に出て、ゆらゆら揺れる指でシャッターを切る。

 「長野まゆみの『夏至南風』は読んだことがある? 」
そう訊かれた。
 「読んだことない」
そう応えた。
 問いかけたのは恣意セシル? いいえ、泉由良、西の魔女。
「では東の魔女は誰なの?」
 秘密。蝉も鳴かない夏に。


   西瓜鯨油社|「ゆらし、」

 「白痴のように」は夏に適切な語だと感じたので、その表現を記す方が読んで下さって感想文を頂いたという点が取分け嬉しい。夏の空気って、肌にのせるにはちょっと重いのです。『夏至南風』は図書館で借りて読んだのみなので懐かしいです。(はくちって変換出来ないぞ!)


   ψ


 「夏至南風」のことを考えていたら「上海少年」の内容と混同しているような気がしてきました……。2冊とも再読しましょう。

上海少年

上海少年

 本題には外れますが、長野まゆみ作品って単行本で購入したいと思わせる装丁だと思っています。だから文庫本を購入するよりも図書館で綺麗な装丁の単行本をよく借りていました。(しかし単行本版は絶版になったりする、わけですよ!)でも本当は私は少年には思い入れが無いので、あまり良い読者ではないのかも知れません。少女ですよ!



  *ちなみに「ゆらし、」は通信販売可能ですよ(少々待っていて下さいね!)*